ガリレオ × 超短編 夏のホラー小説大賞

ガリレオ×超短編コラボ企画『夏のホラー小説大賞』結果発表

今回は初めての試みにも拘らず、15作もの力作が寄せられました。
500文字の超短編という厳しい縛りの中、どの作品も面白く読み応えがありましたが、
大賞作は審査員の満場一致で『ショートケーキ』に決定。
日常に潜む狂気を、ショートケーキという美しいモチーフを使うことによって見事に表現されていたと思います。
 
大賞受賞者

五十嵐彪太

 超短編を書いたり、豆本を作ったり、豆本を売ったり、猫を撫でまわしたりしています。
超短編執筆歴15年。
HP:瓢箪漂流

選者

白縫いさや
超短編書き。第6回ビーケーワン怪談大賞(2008年)で優秀賞を受賞してしまったが、
特に怪談やホラーが専門というわけでもないらしい。

タカスギシンタロ
超短編フリーペーパー「コトリの宮殿」編集長。
電子書籍『ピアノ』(うのけブックス/Kindle版)発売中。
HP:日記アメンチア

三田たたみ
回文作家、歌人、小説家見習い。歌集『めぐる季節の回文短歌』(書肆神保堂)発売中。
まんがの図書館ガリレオ社長。

大賞受賞作品

 『ショートケーキ』 五十嵐彪太

 もう何年も、美しいままのショートケーキを見ていない。
 甘くなめらかな生クリーム。艶やかで真っ赤な苺。私は小さいころからショートケーキひとすじだった。たまにチョコレートケーキを選ぼうものなら「ああ、やっぱりショートケーキにすればよかった」と後悔する。
 ショートケーキ狂いの妻の機嫌を取るため、なのかどうかは知らないけれど、夫はせっせとショートケーキを買って帰ってくる。
 満面の笑みで夫が掲げる箱を見て、私はそっと溜息をつく。その箱は、既にひしゃげている。毎度毎度、どこをどうやって持ち運べば、こんな有様になるのだろう。
 私はとびきり丁寧に紅茶を淹れ、潰れたケーキの箱を開ける。もはや原型を留めていないショートケーキ。苺の汁で汚されたクリームは箱の壁面に飛び散り、フワフワのはずのスポンジ生地は崩壊し、固まっている。
 ケーキを皿に出すことも諦め、私と夫は顔を寄せ合い、夢中でケーキの残骸をほじくり、貪る。「おいしいね」と夫を見つめると、「また買ってくるよ」と耳元で囁かれた。

その他受賞作

■大賞:『ショートケーキ』  五十嵐彪太

■ガリレオ社長賞:『海の見える丘の家』  胡乱舎猫支店

■白縫いさや賞:『いこくのち』   加楽幽明

■タカスギシンタロ賞:『ショートケーキ』  五十嵐彪太


受賞者のみなさま、おめでとうございます!
大賞作品『ショートケーキ』は、月刊ガリレオ新聞8月号に掲載されました。
大賞受賞者の五十嵐彪太さんには、副賞として『まんがの図書館ガリレオ・一日フリーパス』が贈呈されます。

※各作品の詳しい選評は、タカスギシンタロさんのブログ『日記アメンチア』をご覧ください。

では、また次の企画でお会いしましょう!



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